ウォレットとセキュリティ

マルチシグウォレット

別名: マルチシグ · multisig · マルチシグネチャ · 複数署名ウォレット

定義

マルチシグウォレットとは、送金に複数の秘密鍵の署名を必要とするウォレットで、たとえば3つの鍵のうち2つの署名がそろわないと資産を動かせない仕組みです。

マルチシグウォレットの仕組み

「2-of-3」や「3-of-5」のように、必要な署名数と鍵の総数を設定します。鍵を1つ盗まれたり紛失したりしても、残りの鍵で資産を守り、動かせるのが最大の利点です。

企業やDAOの資金管理で広く使われ、取引所のコールドウォレットでも採用されています。イーサリアム系ではSafe(旧Gnosis Safe)が代表的で、ビットコインにもマルチシグに対応したウォレットがあります。

一方、設定や運用は通常のウォレットより複雑です。どの鍵を誰がどこに保管するか、鍵を失ったときにどう入れ替えるかを事前に決めておかないと、自分でも資産を動かせなくなるおそれがあります。

具体例

3人の運営メンバーがいるプロジェクトが、2-of-3のマルチシグで50 ETHを管理しているとします。メンバーAのパソコンが乗っ取られ、鍵が盗まれても、攻撃者は署名を1つしか作れないため送金できません。残りのBとCが署名して新しいマルチシグを作り、50 ETHを移せば資産は守られます。単一の鍵のウォレットなら、Aの鍵が盗まれた時点で50 ETHを失っていました。

よくある失敗

  • すべての鍵を同じ端末や同じ場所に保管し、分散の意味をなくすこと。
  • 必要署名数を鍵の総数と同じにして、1つ失っただけで動かせなくなること。
  • マルチシグのコントラクトが対応していないチェーンに、同じアドレスだと思って送金すること。

学んで試す

よくある質問

個人でもマルチシグを使う意味はありますか?

大きな金額を長期保有する場合、複数のハードウェアウォレットで2-of-3を組むなどの使い方があります。ただし運用が複雑になるため、仕組みを理解してから導入しましょう。

マルチシグなら絶対にハッキングされませんか?

鍵の盗難には強くなりますが、署名者全員が偽の取引内容にだまされて署名すれば資産は動きます。署名前に取引の中身を確認することが重要です。