ステーブルコイン

合成ドル(デルタニュートラル型ステーブルコイン)

別名: シンセティックドル · デルタニュートラル型ステーブルコイン · synthetic dollar

定義

合成ドルとは、暗号資産の現物保有と無期限先物のショートを組み合わせて価格変動を相殺し、ドルに近い価値を保つよう設計されたトークンのことです。代表例はEthenaのUSDeです。

合成ドルの仕組み

たとえばETHを現物で持ちながら、同じ量のETHを無期限先物(パーペチュアル)でショートすると、ETHが上がっても下がっても損益がほぼ打ち消し合います。この状態を「デルタニュートラル」と呼び、ポジション全体の価値をドル建てで安定させます。

収益の源泉は、ショート側が受け取る資金調達率(ファンディングレート)と、担保に使うステーキング資産の報酬です。強気相場で資金調達率がプラスのときは利回りが高くなりやすい一方、資金調達率がマイナスになるとショート側が支払う立場になり、利回りが下がったり準備金が減ったりします。

銀行預金で裏付けられたステーブルコインとは仕組みが根本的に違い、取引所の破綻リスク、資金調達率の長期的なマイナス、担保資産のデペッグといった独自のリスクがあります。発行体が公開する準備金や保険基金の情報を確認することが大切です。

具体例

ETHが2,000ドルのとき、あるプロトコルが10 ETH(20,000ドル分)を現物で保有し、同時に10 ETHをショートしたとします。ETHが1,800ドルに下がると現物は2,000ドルの含み損、ショートは2,000ドルの含み益で、合計は約20,000ドルのまま保たれます。このショートに8時間ごとに0.01%の資金調達率が支払われるとすると、1日3回で0.03%、20,000ドルに対して1日約6ドルの収益になります。逆に資金調達率が−0.01%になれば、同じ額を支払う側に回ります。

よくある失敗

  • 合成ドルを銀行預金で裏付けられたUSDCなどと同じものだと考えてしまう。
  • 表示されている利回りが固定だと思い込み、資金調達率がマイナスになると下がることを見落とす。
  • ヘッジに使われている取引所のカウンターパーティリスクを考慮しない。

学んで試す

よくある質問

USDeは安全ですか?

価格変動はヘッジされていますが、資金調達率のマイナス、取引所の破綻、担保資産の問題といった独自のリスクがあります。法定通貨担保型とは別物として、仕組みとリスクを理解したうえで扱う必要があります。

合成ドルの利回りはどこから来ますか?

主に無期限先物のショートで受け取る資金調達率と、担保に使うステーキング資産の報酬です。そのため市場環境によって利回りは大きく変わります。